
過冷却製氷システム SLEET(スリート)
限りなく0℃の水をいつでも供給
氷蓄熱装置
Mayekawa
2023.04.17
プリマハム株式会社様では、2016年に茨城工場内に新ウインナープラント棟を竣工。2019年にハム・ベーコンなど単身品の生産力強化を図る単身プラント棟を増設し、日本最大級のハム・ソーセージ工場を竣工しました。効率的で環境負荷の少ない生産体制を構築し、省エネルギーと自動化による高い生産性を実現されています。
プリマハム株式会社 茨城工場
当初の目的であった「さらなる生産効率の向上」と「工場の省エネルギー化」「環境負荷低減」の3つのテーマを実現すべく、導入いただいたのが高効率自然冷媒冷凍機「NewTon」をはじめとしたマエカワの製品です。プリマハム様とマエカワのお付き合いは長く、50年以上にわたって事業をサポートさせていただいています。
今回は、プリマハム様が茨城工場竣工にあたりマエカワをパートナーに選んでいただいた経緯や当時の課題、そして稼働開始後に感じたことについて、生産本部 製造技術部の木本さん、茨城工場の生産技術部の柴田さんと藤山さんにお話を伺いました。
お話を伺ったメンバー
藤山 英紀(ふじやま・ひでき)さん
茨城工場・生産技術部・生産技術一課長
稼働後の運用を担当
柴田 亨(しばた・とおる)さん
茨城工場・生産技術部・部長
稼働後の運用を担当
木本 寛人(きもと・ひろと)さん
生産本部・製造技術部・部長
プラント計画から竣工までを担当
まずは、茨城に新工場を竣工した経緯と目的を教えてください。
木本:もともと、茨城工場内にはロースハムとベーコンの製造工場と、2つのウインナー製造工場がありました。しかし、いずれの工場も老朽化が進んでおり、生産量アップの見込みのあるウインナーに絞った工場に刷新しようと考えたのが、きっかけです。まずは、2016年に第1期工事としてウインナープラント棟を設置することにしました。
プリマハム茨城工場で生産されている製品
私は当時、茨城工場の生産技術課長として、新工場のライン設計などを担当したのですが、当初はマエカワではない別の協力会社で計画していました。というのも、マエカワの見積もり額が他社の1.5倍以上とコスト面で難しく……。プリマハムとしておよそ50年ぶりの新工場計画とあって、投資回収の観点からそこまで予算をかけられない、という方針のもとで進めていたためです。
結果的にマエカワを選ばれたのはどうしてでしょうか?
木本:通常、冷却設備は代替フロンなどの冷媒を使用しますが、マエカワは環境に優しい自然由来の「自然冷媒」を使った機器を提案している。これはひとつの強みであると感じました。新工場を建てることが決まったとき、マエカワは「これからを考えて、省エネルギーかつ地球環境に優しい工場を目指しましょう」というプレゼンをしてくれたんです。この将来性を見据えた提案が本部に強く響き、「コストはかかっても、次世代を見据える会社として必要なことだ」とマエカワに一任することになりました。
高効率自然冷媒冷凍機
実際にマエカワとの計画が始まって、提案や設計、施工についてはいかがでしたか?
木本:一部、計画どおりにいかない部分もありましたが、設計や施工の面ではとても素晴らしい対応をしていただき満足しています。狭いスペースの中で適切に冷凍機を配置していただいたり、タイトな工期を柔軟に調整いただいたり。それに外部業者ともうまく連携をとりつつ円滑に進めてくださったのも、とてもありがたかったですね。
1期工事が終了してから、2019年に2期工事として単身プラント棟を竣工されています。そこにもマエカワの機器を採用いただきました。
木本:1期のウインナープラント棟が無事に立ち上がり、投資回収も予想以上の数値が見込めたのですぐに「第2期工事をやろう」と、単身プラント棟の計画を進めました。引き続き「省エネルギーと環境負荷低減」をコンセプトにしていたので、2期工事は最初からマエカワにお願いすると決めていましたね。
第2期でもコストの課題がありましたが、そのときのマエカワの対応は今でも印象に残っています。普通はエンジニアリング提案の中に「この設備が絶対必要です」などと営業の押し付けがあるものですが、「ここは他社さんにお願いしたほうがコストを下げられますね」と、われわれの立場になって真摯に向き合って対応していただきました。これは本当にありがたかったですね。
2期工事は、1期のフィードバックをすぐに反映してくださいましたし、茨城工場の反省点をそのあと竣工した鹿児島工場にも生かしてもらい、営業・設計・施工のどの段階も丁寧に対応していただけて非常に助かりました。
施行写真
実際、マエカワの機器を導入したラインの稼働が始まって、運用面で感じられていることは?
藤山:かなり作業がスムーズになりましたね。今までは冷凍機の調整や点検、エラー確認などをするために、いちいち現場に出かけて確認する必要がありましたが、今は中央監視室ですべてモニタリングできるようになっているので、省力化・省人化に大きく寄与しています。
部屋の設定温度もシームレスに変更できるので、現場からの要望にもすぐに対応でき、使わない区画の温度を調整するなど、省エネルギーにもつながりました。高度なシステムが入って、運転時間の状況確認や稼働状況の確認も容易になり、業務上の負担や効率の改善が図られたと感じています。
生産量アップや光熱費の削減など、成果としてはいかがでしょうか?
藤山:一概に比較は難しいのですが、生産量アップは大きいですね。ウインナープラントと単身プラントで、合わせて月4,300トンを想定してスタートしましたが、2023年現在では4,500トン、多いときでは4,700トンの生産量を実現しています。それは自動化機械の導入もひとつありますが、省人化・省力化も大きいと思いますね。
藤山さん
柴田:現場の目線でいうと、新しい工場が稼働して驚いたのは、除湿能力の高さです。工場では機器の洗浄や原料の解凍に多くの水を使いますから、床や機器がどうしても濡れてしまいます。濡れたままにしていると衛生状態にも影響しますし、機器の故障にもつながりますから、できるだけドライにしたいんです。
CO₂ヒートポンプ式デシカント除湿機「chris」
それが、マエカワのCO₂ヒートポンプ式デシカント除湿機「chris」の導入によって、明らかに工場内が乾燥して「ドライ化」が実現できました。以前は機器に湿気がたまって電気系統のトラブルも多かったのですが、今トラブルはほとんどなくなりましたね。
工場内は常に10℃前後と水分が乾きにくい温度下にありますが、それでも濡れた床面や機器が1時間程度で乾いてしまうのは、マエカワの技術力の高さゆえだと思います。
機器納入後のマエカワのアフターフォローについてはいかがでしたか?
藤山:とてもていねいに対応いただいて、いつも感謝しています。機械トラブルが起きたときはすぐ電話で確認できますし、ときには現場に来て状況確認や対処をしていただくこともあります。レスポンスの早さやフットワークの軽さには助かっていますね。
柴田:工場の機器は非常に高度なセンシングをしているため、些細な異常もエラーとして感知されます。繊細であるがゆえにエラーが出るのは仕方がないことですが、そうしたときも細かく対応いただいて「リセットすれば問題ないものなのか」「改善すべきクリティカルなものなのか」などをきちんと答えていただけるので、安心感があります。データを持ち帰って再発防止に向けたフィードバックをしてくださるので、どんどん精度が高まっていくのも頼もしいところです。
エラーチェックなどを随時、行える体制に安心感
プリマハム茨城工場の今後の展望について教えてください。
藤山:マエカワの強みである「自然冷媒機器による環境負荷軽減」については、お客様からも非常に好評をいただいています。われわれとしても、自社工場がすべて環境にやさしい「自然冷媒」で運転していると胸を張って言えることは誇らしいですし、今後も環境負荷低減を考えた工場づくりを進めていくつもりです。
柴田:これからは省人化・効率化という部分に関して、パッキングや運搬などといったロジスティクス面への自動化機器の導入を進めていきます。環境にも人にもやさしく、プリマハムグループ全体に生産ノウハウを棚卸しできるような「マザー工場」として今後も取り組んでいきたいですね。
柴田さん
最後に、マエカワとのプロジェクトについて感想をお聞かせください。
藤山:プリマハム茨城工場は、生産性や環境面も含めて「日本一のハム・ソーセージ工場を作ろう」という大きな目的があって立ち上がった次世代工場です。そうした目的をマエカワと併走しながら叶えていけることは、大変心強いことだと感じています。
コスト面でいえば正直、マエカワは他の企業よりもやや金額が張りますが、長期的に見れば会社としても大きなメリットになると感じています。既存のフロン冷媒を使えば安く済むとはいえ、環境を度外視していては持続可能な経営は成り立ちません。ですので、環境に配慮したマエカワの自然冷媒機器は今後の工場経営に大きなカギになるのだと思います。
高効率自然冷媒冷凍機
NewTon(ニュートン)
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